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業務内容 - 企業・法人の方|名古屋で弁護士をお探しなら【城南法律事務所】

民事再生・破産

(1)民事再生

会社を再建させる手段としての民事再生

会社の資金繰りが悪化し、借金等の返済が厳しい状況になることがあります。リストラなどの経費削減や、銀行と交渉してリスケ(リスケジュール)を行ったりしても資金繰りが行き詰った場合、どうすればよいでしょうか?

資金繰りがプラスに転じる明確な計画が立てられない場合でも、問題を先送りして事業を継続しようとする経営者は多いです。一生懸命にやってきた会社であり、会社は経営者にとって人生そのものともいえるでしょうから、その気持ちも十分に分かります。ですが、無計画に事業を継続しても、これまで悪化した資金繰りが急にプラスに転じる可能性は極めて低いでしょう。無理をすればするほど、取引先や従業員、金融機関等にも無理を強いることになり、経営者はますますつらい状況に追い込まれていきます。

このような場合、採りうる方法のひとつに、民事再生という手続があります。民事再生は、破産のように会社を清算するのではなく、会社を再建するという再建型の法的手続です。

民事再生をすると会社はどうなる?

民事再生は、破産のように会社を消滅させる手続ではなく、事業を継続しながら行う手続です。

事業を継続しながら「再生計画案」を立て、再生計画案が認可されれば、事業を継続しながら再生計画案を履行していくことになります。

民事再生手続が開始された場合、開始決定時点の債務の弁済が禁止されます(いったん返済をストップできます)。

民事再生手続中も仕入れなどは行われることになりますが、民事再生中の会社は信用がないため、現金決済で行われるのが通常です。

このように事業を継続しつつ、「再生計画案」を策定し、これに債権者が同意するかどうかを決議にかけます。

たとえば、5年間かけて合計2000万円を弁済するので、残りの2億円は免除してもらいたいという計画案などです。

とはいえ、債権者はなぜ、このような再生計画案に同意をするのでしょうか?それは、破産をする場合よりも配当率が高くなるためです。たとえば、さきほどの事案だと、破産をすれば会社の財産を売っても債権者には合計1500万円しか配当できないとすると、民事再生によって2000万円の弁済を受けたほうが債権者にとっても良いといえます。そのため、民事再生は、破産をした場合よりも配当率が高くなければならないというルールがあります。

なお、民事再生を行う中で新たな融資を受けるDIPファイナンスや、民事再生中の会社がスポンサーに事業譲渡をするというスポンサー型の民事再生もあります。城南法律事務所は、いずれの経験も有しています。

民事再生のハードル

このような説明を聞くと、民事再生はいいことばかりのようにも思えます。ですが、実際には、民事再生はそう簡単なものではありません。

まず、営業利益がプラスになっていなければ、いくら弁済をストップしても、事業を継続していくことはできません。ですので、資金繰りが行き詰った原因を究明し、どのような改革をすれば収支が改善するかを適切に分析し、改善計画を立て、それを実行する必要があります。その上で、精度の高い資金繰り表を作成する必要があります。これには、会計の専門家の助力が必要な場合もあります。

また、民事再生を行うことによる信用不安についても、考える必要があります。「民事再生」というと、イメージ的には倒産の一種です。また、民事再生が開始されると、いったん買掛金の支払いはストップされますが、それでも取引先は、以前のように取引を継続してくれるでしょうか。民事再生が成功するかどうかは、取引先がついてきてくれるかどうかにかかっているといっても過言ではありません。それには、業種や市場での立ち位置、これまでの取引先との関係なども影響してきます。

また、民事再生には、それなりの費用がかかります。費用には大きく分けて、①裁判所の予納金、②申立代理人の弁護士費用があります。

1 裁判所の予納金は、裁判所によって異なりますが、名古屋地方裁判所の運用では次のようになっています(令和元年10月1日現在)。

負債額が
     1億円未満 200万円
     1億円~10億円未満 250万円
    10億円~30億円未満 300万円
    30億円~50億円未満 350万円
    50億円~100億円未満 500万円
   100億円~250億円未満 900万円
   250億円~500億円未満 1000万円
   500億円~1000億円未満 1200万円
  1000億円以上 1300万円以上

②弁護士費用は、予納金と同額が一応の目安(ただし、最低金額おおむね300万円~)です。また、事案によって、会計士等の専門家に支払う費用も発生します。

さらに、当面の運転資金が必要なことはもちろんですが、「債務免除益にかかる税金」の問題もあります。たとえば、民事再生によって2億円の債務を免除してもらう場合、2億円の債務免除益を得たことになり、これに対して税金が課されます。再生計画案では、このような債務免除益についても注意して立案する必要があります。

民事再生をする意義

このように、民事再生を成功させるのは、そう簡単なことではありません。

民事再生を成功させるためには、「ぜひとも事業を存続させたい」という熱意が重要になってきます。経営者一人の個人的な執着心を超えて、従業員や顧客、取引先からも会社の再建が望まれる、ひいては会社を存続させる社会的意義が存在する、といったことも重要になってきます。

 

(2)破産

破産をする意義

会社の資金繰りが悪化し、借金等の返済が厳しい状況になった場合、採りうる選択肢のひとつに、民事再生があります(詳しくは「民事再生」のページを参照)。

ですが、民事再生をするには様々なハードルがあることは、「民事再生」のページで述べたとおりです。

また、民事再生は、たしかに会社は存続しますが、債務超過の会社を経営していくという状況は変わらず、経営者にとっては依然として重い負担がのしかかります。

そこで、会社を清算する法的手続である「破産」という選択肢があります。

破産をした場合、債務超過の会社を経営していくという重荷から解放され、経営者にとって、新たな人生のスタートが切れるというメリットがあります。

また、資金繰りが行き詰っているにもかかわらず事業を続けることは、かえって金融機関や取引先、従業員などに負の影響を与えてしまう結果になりがちです。ですが、破産をすれば、これ以上負の影響を与えることを防ぐことができ、その意味ではかえって望ましい手続でもあるのです。

破産の費用

破産を考える企業の資金繰りはとても悪化しています。ですが、破産をするためには、それなりの費用がかかります。

これは、破産が認められれば、会社は消滅し、債権者は債権が回収できなくなるという大きな不利益を受けることになるためです。そのため、裁判所の監督下において、破産管財人が適切に財産調査や資産の換価などを行い、債権者に少しでも多くの配当を行うよう努めることが求められます。そのために、裁判所は破産管財人を選任し、破産管財人の報酬は破産者が納める予納金から支弁されます。また、破産管財人や裁判所が適切に処理するためには、迅速かつ法的にきちんと整理された申立がなされることが必要です。そのため、申立人代理人弁護士に支払う申立費用も必要になります。

破産者にとっても、破産によって、莫大な債務の支払いを免れることになるのですから、それ相応の金銭を負担することは正当化されてしかるべきでしょう。

破産の費用は、大きく分けて、①裁判所の予納金、②申立代理人の弁護士費用がかかります。

また、会社が破産をする場合、代表者が保証人なっていることが多いです。その場合、代表者が保証債務を支払えなければ代表者も破産することになり、そのようなケースが多いです。

1 裁判所の予納金は、裁判所によって異なりますが、名古屋地方裁判所の運用では次のようになっています(令和元年10月1日現在)。なお、代表者も破産する場合、会社(法人分)と代表者(個人分)の両方の予納金が必要になります。

負債額が
     1億円未満       法人:60万円 個人:40万円
     1億円~3億円未満   法人:80万円 個人:60万円
     3億円~10億円未満  法人:100万円 個人70万円
    10億円~30億円未満       150万円
    30億円~50億円未満       300万円
    50億円~100億円未満      500万円
   100億円~300億円未満      800万円
   300億円~500億円未満     1000万円
   500億円~1000億円未満    1200万円
  1000億円以上   1500万円以上

ただし、例外的に、資産が少額で、破産管財人の処理する業務が乏しい場合、少額の予納金で足りる場合があります(小額予納管財事件)。この場合は、法人20万円、法人と個人が小額予納管財事件を同時に申し込む場合、合計30万円(法人20万円、代表者10万円)で足ります。

なお、上記の予納金とは別途、官報公告費用等(数万円程度)が必要です。

2 申立代理人の弁護士費用は、予納金と同額程度が一応の目安です(小額予納管財事件を除く)。

企業の法務については「城南Law Groupのホームページ」もご覧ください。

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